
よりよい「友達関係」をきずくために必要不可欠な「言葉」の力。
人間同士のかかわりは、素晴らしいものですが、ときには、いざこざを引き起こすことがあります。
それは、大人とか子どもは関係ありません。
そして、そのいざこざを解決していく練習をしていく場所こそ、「小学校」の価値の1つです。
そう、決して「もめ事」が悪いということではありません。
むしろ、
「人ともめないように、人間関係を避けて、がまんする。」
という解決方法ばかりに頼っている方が心配です。
大切なのは、「もめごとの解決方法」を経験的に知っていること。
様々な価値観をもった子どもたちがもめたとき、僕がいつも聞いているのは、
「相手に時分の気持ちを伝えたかい?」
ということです。
ここから何を伝えたいかというと、
「もめごとを解消するには、『気持ちを伝える』そして、『話し合う』という選択肢が重要だよ。」
という、至極当然のことです。
友達と気まずい雰囲気になった子どもたちは、意外と「きっかけ」や、「自分の考え」を伝えないままにしてしまうことがあります。
その状態が本当によくなくて、「きっと怒っているだろうな。」とか、「きっと許してくれない。」という想像力の深みへとはまっていくのです。
しかし、勇気を出して一言声をかけてみると、「本当は怒っていない。」なんてことざらにあるのです。
むしろ、「そっちが怒っていたんじゃないの。」と言われる始末。
このようなあるあるな状況から分かるように、
「お互いの気持ちは、自分が思っている以上に伝わらない。」
ものなのです。
▼相手の「気持ち」はどれほど分かりにくいのか。
さて、ここから具体的な根拠を示していくゾーンに入ります。
今回見つけたおもしろい実験は、マニトバ大学のジャッキー・フォラウさんと、ステファニー=ダニエル・クロードさんの実験です。
被験者がペアになり、「理想の結婚相手」のような簡単に答えが出ない問題について話し合ってもらいました。
その際、片方の被験者には指示が出されていました。その指示とは、「話し合いをどのように持っていくのか。」というもの。
例えば、「とにかく相手の意見に合わせる。」とか、「とにかく相手の意見を否定する。」のような指示が事前に出されていたのです。
そして、話し合ったあとに、もう一方の被験者に、「相手がどのような意図で話し合いに参加していたと思いますか。」と聞いてみたのです。
さて、気になる結果はどうなったと思いますか。
結果の前に、紹介しておきたい情報は、
「話し合いの方向性を指示されていた被験者は、『きっと、相手に自分の意図がばれていたんじゃないかな。』と予想していました。」
指示された側の人間は、「みえみてだったよ!」と自信満々だったのですが、なんと、
「相手の意図を見抜いていた被験者は、26%しかいなかった。」
というから驚きです!!
ここからも分かるように、
「それくらい察してね。」
「きっと、伝わっているだろう。」
「そこまで言わなくても分かるでしょ。」
という思い込みは、ほとんどの場合伝わっていないことが多いのです!!
やはり、「言葉で伝える。」ということは、大切なのです!

▼やりがちな「直感」の取り扱い方❶
ここまで、「もめごとの解消に必要なのは、話し合いである。」という内容を書いてきましたが、まだまだトラブル解決初心者の子どもたちがおちいってしまうのは、「直感の魔力」なのです。
「話し合う」よりも先に、相手の表情を見て、
「きっと、〇〇だな。」
と、「直感」を働かせてしまうことで、すれ違いはややこしくなっていってしまうのです。
「直感」に対して何がひっかかるのかというと、
「直感には、かたよった見方が隠れている。」
ということを忘れてはいけません!
例えば、友達とけんかをしてしまったとしましょう。次の日、学校へ行ったあなたは友達の顏をチラ見して、
「あぁ、怒ってんな。」
なんて思ったことはありませんか。
この「直感」は、まぁ当たらない。冒頭でも書いたように、勇気を出して声をかけてみると、「全然怒ってなかったけど・・・。」なんて結果は、あるあるなのです。
このように、「人間の表情を見てその人の気持ちを当てる。」なんて課題では、「直感」が当たりずらいときもあるのです。
その当たりずらい要因をざっくりまとめると、
「人間の気持ちを判断するという課題については、『表情』と『動作』を注意深く観察しないと分からない。」
ということが知られています。
あまりにも「直感」に頼って行動すると、エラーを起こす可能性があるということですね。
#第一印象の科学
「友達の表情から感情を読み取る。」という課題に対して、「昨日のけんか」という情報が「直感」をにぶらせてしまうのです。
このような状況では、「直感」に頼ることはできません。
なぜなら、「直感」を通して「表情」から感情を読み取るには、情報が足りなすぎるのです。
もっと具体的に言うと、「表情」+「動作」さらに「全体像」や「脈略」といった、たくさんのヒントがなければ、人間の感情を読み取ることは至難の技なのです。
▼やりがちな「直感」の取り扱い方❷
さて、「直感」をにぶらせる2つ目の要因について書いていきます。「直感」の意外な敵は、
「あなた自信。」
です!
ほぼ全員が「?」となったと思いますので、説明をさせていただくと、
「直感は、その時のメンタルや状況に左右される。」
と言わざるを得ません。
例えば、気持ちが落ちているときと、イケイケのときで、友達の「表情」について同じ直感が働くでしょうか?
では、もっと複雑な場面を想定してみましょう。
「あなたが前日に友達とけんかをしたことを引きずりながら教室に入ってくると、けんかした友達がいつもは一緒にいないクラスメートと話している。」
なんて状況になったら、溝が深まりそうな気がしませんか。
きっと、
「あぁ、きっとあいつは、もう僕とは仲良くする気はないんだな。」
なんて、「直感」がささやいてくるでしょう。
しかし、友達がすぐにあなたを見捨てるなんてことはありません。そう、「たまたま話をしていただけ。」という可能性の方が大きいのです。
しかし、メンタルに著しいダメージを受けているあなたの「直感」は、きっと、溝を大きく掘り進めるはずです。
一方、「前日は友達と楽しく遊んだ。」という状況で登校してきたあなたが、「いつもは一緒にいないクラスメートと話している友達」を見かけたとしても、
「あれっ、珍しいな。何の話をしているか聞いてこよう!」
と、感じるでしょう。
このように、「直感」とは人間にとってとても便利な能力ではあるのですが、その反面、無条件で信じることが正しくない場合もあるのです。
▼まとめ。
本記事では、「思った以上にあなたの気持ちは伝わらない。」という内容をまとめました。
これらの情報を頭の隅においておくことで、「気持ちのすれ違い。」も減ること間違いなしです!
ぜひとも、子どもさんとの関係においても「言葉で伝える。」ということを意識してみてくださいね!!
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