
「なかなか、子どもがお手伝いをしてくれなくて。」
という親御さんからの相談を受けることがよくあります。
確かに、学校での子どもたちの様子を見ていると、「家でお手伝いしているんだろうなぁ。」という子どもさんは、学級の中で「自分がすべきこと。」を自分でみつけて行動できると感じます。
本記事では、「なぜ、お手伝いをする子としない子という違いが生まれるのか。」という疑問から、「子どもがお手伝いしてくれる頼み方。」まで、まとめてみました。
ぜひとも、子どもさんへの声のかけ方について参考にしてくださいね!
▶「子ども」が快く「お手伝い」をしてくれる方法とは。
意気揚々と書き始めてみましたが、これが意外と難しい。
なぜか・・・。結論を言うと、
「『お手伝い』に興味があったとき、どのような対応をしたのかによる。」
からなのです。
思い出してみてください。例えば、あなたが「料理」をしていると、子どもさんがよってきて、「やってみたい!」と言ったことがありませんでしたか?
例えば、「そうじ」をしていたとき、「かわって!」と言ってきたことがなかったでしょうか。
実は、この「やりたい!」という時期に、「存分に挑戦させてあげた!」という経験が、子どもさんが成長したときのお手伝い率にかかわっているのです。
厳しい言い方ですが、
「家事として確かな戦力とまで成長した子どもを、親御さんのタイミングで手伝ったもらおうとしても難しい。」
のです!!
だからこそ、決して「戦力」とは言えなかった小さな子ども時代に気長に付き合って、「お手伝い」の楽しさを経験してもらっておくことが大切なのです!!
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▶「頼み事」の「成功率」を上げる驚くほど「単純」な方法とは。
では、子どもに「お手伝い」をしてもらう方法の難しさに軽くショックを受けたあなたも大丈夫。
ここからは、子どもの「お手伝い」にとどまらず、大人同士の「頼み事」でも活躍する方法を紹介します。
さて、あなたは、「カチッサー効果」というのはご存じでしょうか。
心理学者のエレン・ランガーのおもしろい実験を紹介しますので、いやがらずに続きを読んでみて下さい。
図書館でコピーをとるために並んでいる人に対して、次の3種類の方法で、『先にコピーさせてもらいたい。』ことを頼むという実験です。
まずは、
「先にコピーをとらせてもらえませんか。」
と頼んでみました。
すると、「承諾率は60%」だったということです。
たしかに、自分に余裕があれば、「えっ、まぁ、いいですけど。」としぶしぶ感丸出しにしながらも譲ってあげることでしょう。
しかし、承諾率からは、「断られる」という可能性もあることが示唆されています。
たしかに、訳も分からず頼まれて、無条件で引き受けてくれるという状況は、ハードル高めであるでしょう。
さて、続いて2つ目の頼み方にいきましょう。2つ目は、
「急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか。」
と頼んだ場合を紹介します
出ました!正統派!やはり、何事も正直さが一番ですよね。
きっと、このような頼まれ方をされてしまっては、よっぽど自分が急いでない限りは、「いやいや、順番待ちなさいよ!」とは言えないでしょう。
結果もそれを表していて、「94%の人が承諾してくれた。」ということです。
きっと、「何だか大変そうだな。」と慮ってくれたのでしょう。人間、捨てたもんじゃないですね。
では、いよいよ最後の頼み方です。3番目の理由は、
「コピーをとりたいので、先にコピーをとらせてもらえませんか。」
思わず「でしょうね!!」と叫んでしまうほど訳わからん理由で頼んでみました。
あなたは、このような理由で頼まれた場合、どのような反応で返すでしょうか。
気になる結果ですが、なんと、
「93%の人が承諾した。」
のです!!!
「ちょ、待て!」と。「そんな理由で譲るわけあるかい!」と。
言いたくなる気持ちは分かります。しかし、この研究から、
「人間の判断基準は、非常に単純。」
ということが示されたのです。
2番目の頼み方では、「納得感」をもって譲ることができますが、それに対して3番目の「コピーがしたいから。」という理由は、理由になっていないような気もします。
しかし、人間は思わず「うっ?うん。」と言ってしまう。
ここに、「理由は、特に関係ない。」という「まさか!」の事実が浮き彫りになったのです。
勘違いしてはいけないのは、「理由がなくてもよい。」ということではありません。
「理由っぽい何か。」を付け足して「~ので。」という頼み方で「頼み事」をすることにより、僕たちは、「頼み事」の「成功率」を上げることができるのです。
▶「子ども」への「頼み事」。効果的な「声かけ」方法とは。
確実に「お手伝いをしてもらえる!」とまではいかないかもしれませんが、「子どもに自分の願いを伝えたい。」というときに、効果的な「声かけ」方法をご紹介します。
例えば、「なかなか勉強に取りかからない。」という子どもさんに対して、「勉強を促す」という場面を想定して書いていきますね。
小学校高学年は、教師や親御さんが言って聞かせようとしても、成功率はなかなか上がりません。そんなときには、「声かけを一工夫」することで、少しでも伝わる確率をあげることができるのです。
その効果的な声かけになるちょっとした理由は、
「○○しなさい。」と言いたいところをぐっとおさえ、
「○○だから、◇◇しない?」
というように声をかけてみてください。
実は、先祖代々読み継がれていた伝説の教育書にもこの法則が書かれていました。人を動かす指示には必ず「趣意説明を添えましょう。」という教えです。→#授業のうでを上げる法則
やはり、単純に指図されるよりも、最もらしい理由がある頼みごとの方が、「どうしようかな?」と思ってもらえるのです。さらに、状況が余談を許さないような焦っている状況であれば思わず承諾してしまうでしょう。
また、問いかけの語尾を「問いかけ系」にするというのも鉄則です。
この鉄則の裏には、「決断を子どもにたくしてしまう。」というめちゃくちゃ大事なテクニックが隠れています。
子どもと限らず、働く大人が一番喜ぶ環境というのは、
「自分のペースで仕事を進めることができる職場。」
とされています。
もっと簡単に言うと、
「上司から任された仕事よりも、自分で『やりたい!』と思い、自分のやり方で進めることができる仕事。」
というのは、人間に最高の「満足感」をもたらしてくれることが分かっています。
だからこそ、子どもさんに対して、
「〇〇を◇◇ページずつ進めようね!」
と言われるよりも、
「〇〇をどうやって進める?」
というように、「子どもさんが、主体的に決めた!」という事実を演出することによって、「自分の判断で事に当たっている。」という主体性が喚起されるのです。
【子どもを伸ばすためには、やっぱり「ほめる」ことが一番!】
👉子どもを伸ばす!!効果的な「ほめ方」とは。
【勉強を成果につなげるには、やっぱり勉強法も正しくしないと!】
👉子どもを伸ばす!!効果的な「勉強法」とは。

▶「頼み事」をする方が「好意」をもたられる理由。
ここで、ちなみに情報も書かせていただきます。実は、
「頼み事をすると、頼まれた方は、頼んだ方に対して好意をもつ。」
という可能性が分かっているのです。
「えっ!逆じゃないの?」って思いませんでした。
普通は、「好意をもっているから頼み事をしたいんじゃ。」と思うのですが、そうではないのです。
あなたが、周囲に遠慮して「頼みたいけど、みんな忙しいから悪いなあ。」と感じていたとしたら、大変もったいないことになっています。
だって、「頼み事をどんどんすると、周囲の人は、あなたに対して好感を抱く。」のですから、頼まないなんていうのは、悪手であるとしか思えません。
このからくりは、ちょっと考えると簡単です。
頼まれた方としては、引き受けたのであれば、「その人のために何とか力になろう!」と思ってくれます。
この「気持ち」こそ、あなたへの「好感」なのです。
もっと、大げさに言うのであれば、
「頼ってくれて嬉しい。」
という感情も混ざっているかもしれませんね。
とにかく、「頼み事は、申し訳なくてできない。」というマインドは、今日から捨ててください。
そして、「困ったら、周囲を頼ってみる。」という作戦に切り替えましょう。
その方が、あなたにとっては有益なのですから!!
▶まとめ。
本記事では、「子どもに『お手伝い』をしてもらう方法と頼み方。」についてまとめました。
記事の中に入らなかったプチ情報をここで紹介すると、
「自分の気持ちが落ち込んでいるときこそ、周囲の人の手伝いをした方がよい。」
ということが分かっています。
さらに、
「自分が忙しいときほど、周囲の人の手伝いをした方がよい。」
ということも分かっています。
この2つに共通することは、
「過度に『自分が追い込まれている。』と感じたときこそ、意識的に周囲に気を配ることによって、『あぁ、自分って意外と余裕があるんだな。』と、気持ちを切り替えることができる。」
ということなのです!!
これは、ぜひ子どもさんにも教えてあげてほしい事実です。
「自分が追い込まれている。」というときこそ、周囲を見回して何か一善してみると、人間としても成長し、気持ちの面でも余裕がうまれることでしょう!!
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