
「不確実性な世の中」という言葉が教育界にも影響を与えています。
ひと昔前は、
「頑張って勉強をして学校で良い成績を残し、学歴を積んだ上で大手の企業へ就職する。」
といった「成功法則」が信じられていました。
しかし、ここ十数年で、世の中の「構造」は大きく変わりました。
「YouTuber」や「Uber eats」といった新しい仕事ができ、子どもたちの憧れの職業には、「プロゲーマー」が食い込んでくる時代になったのです。
そんな時代において、親御さんの子どもの将来に対する心配は、多岐に渡っています。そのような心配を学校で聞いていると、
「子どもの未来がどうなるか分からないからこそ、勉強にしっかりと取り組んでもらいたい。」
という「願い」は、強くなっています。
そして、そのような「願い」が強くなればなるほど、
「もっと、勉強に対して『やる気』があればいいんですが。」
「どうやったら勉強に対する『やる気』が出るんですか。」
「子どもが勉強に対する『やる気』がなくて困っているんです。」
というご相談をいただきます。
子どもたちとかかわる先生や親御さんであれば、きっとこのような場面に出会ったことがあるでしょう。
しかし、このような「表現」は、「全て間違っている。」ということをご存じでしょうか。
実は、「やる気」というものは、
「『もち合わせているもの』でも、『もっているもの』でもない。」
というのが正解なのです。
本記事では、このようなことをふまえ、
「子どもの勉強に対する『やる気』を高める方法。」
を解説していきますので、ぜひとも読んでいただき、お子様の生活に生かしていただけたらと思います。
1.どうすれば、子どもの「やる気」を高められるのか。
まずは、前提を考えていきましょう。
「もっと、勉強に対して『やる気』があればいいんですが。」
「どうやったら勉強に対する『やる気』が出るんですか。」
「子どもが勉強に対する『やる気』がなくて困っているんです。」
これら、保護者の方から聞かれるお悩みの「どこが間違っているのか。」分かりますか。
正解は、
「『やる気』は、『出すもの』でも『もち合わせたもの』でもない。」
ということなのです。
かん違いしやすいところなのですが、
「もともと『やる気』という能力が高いから成功するということではない。」
ことだけ、間違えないようにしてください。
どういうことかは、みなさんの経験を振り返ってみると分かりやすいと思います。
「あ~、いつになったら『やる気』が出るかなぁ~。」
と、ひたすら待っていたとしても一向に「やる気」はふってこないでしょう。
しかし、どんなにだらだらしていたとしても「やる気」が入る瞬間がやってきます。
それが、「締め切り」とか「親御さんの雷」という「スイッチ」なのです。きっと、多くの方が、
「締め切り直前になってお尻に火がつきいて終わらせた。」
「お母さんの逆鱗に触れて、宿題を終わらせた。」
というような経験があるのではないでしょうか。
実は、このような「経験」に「やる気を出すヒント」がつまっています。
もっと詳しく言うと、
「物理的な『締め切り』とか、感情的な『雷』によって『やる気』がでたのではなく、しぶしぶ『取り組んだこと』により、『やる気スイッチ』がINした。」
ということなのです!
実は、多くの人が、「やる気が出る瞬間」をみすみすつかみそこねているのです。もっと言うと、
「『やる気』とは、外部からの刺激を受けてもたらされるものではなく、『しかけ』によって湧き上がらせるもの。」
と言った方が分かりやすいでしょうか。
だからこそ、親御さんがいう、
「うちの子は『やる気』がない。」
というのは、正しい表現方法ではなく、
「『やる気』を高める環境をつくれていない。」
という言い方が正しいのです!!
2.子どもの「やる気」を高める環境とは。
ここまで、「『やる気』は、『環境』によって高められる。」という内容をまとめました。
では、どのような「環境」が最適なのかを書いていきますね。
いくつかの「こつ」があるのですが、その中でも最も基本的なことをご紹介します。それは、
「ただただ、やること。」
これしかありません!! これに尽きます!!
「そんなこと当たり前じゃないか!」と思いますよね。
しかし、考えてみてください。「やる気」を高めることにそんな特別な「環境」は、いらないのです。
勉強に取り組む前にどれだけ「やる気」が高まっていなかったとしても、どれだけ気が進まない条件がそろっていたとしても、
「勉強に手をつけさえすれば、後からやる気が湧いてくる!」
のですから!!
もっと言うと、
「努力を注ぎこめば注ぎこむほど『やる気』が湧いてくる!!」
とも言えるのです!!
ざっくりと概要を書いてしまいましたので、より具体的なおすすめの方法を3つご紹介しますので、実践してみてくださいね!
①生活の中に「条件」を設定する。
②「スモールゴール」を設定する。
③「今」から「未来」を想像する。

①生活の中に「条件」を設定する。
さて、1つめのテクニックは、「『やる気』をつくり出す環境づくり」をあらかじめ日常生活の中に設定してしまおうという作戦です。基本は簡単で、
「〇〇したら◇◇する。」
というマイルールを決めるという方法です!!
例えば、
「家から帰ったら、勉強をする。」
「遊びから帰ったら、勉強をする。」
「夕ご飯を食べたら、勉強をする。」
というように、自分の「基本的な生活スタイルの中に無理なく勉強するタイミングを設定する。」ことをしてしまいましょう。
そう、「有無を言わずとにかくやる!」ということが「勉強に対する『やる気』」を自然と高めてくれるのです。言い換えるとしたら、
「『やる気』とかどうかではなく、『勉強することが普通』。」
という生活スタイルを作り上げることが最大のポイントです。
そして、ときに振り返ってみましょう。こつこつと積み重ねてきた「努力」は、きっと子どもさんにとって大きな自信となるはずですし、さらなる「勉強に対するやる気」につながるのです!
②「スモールゴール」を設定する。
ここまでお読みいただき、気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、
「『やる気』を高めるためには、『習慣化』が近道。」
ということが言えるのです。
先ほども書かせていただきましたが、「やる気がなぜ高まるのか。」と問われたら、
「それだけ努力してきたから!」
としか、言えないわけですから。
もちろん、「習慣化」は、成功への最強手段ですので超絶おすすめなのですが、こつをつかめない方からしたら超絶難しいもの。その理由としては、
「新しい習慣をつくるには、およそ80日位を要する。」
ということが分かっています。
簡単に言えば、「80日間もの同じルーティンを繰り返すことでやっと習慣化する。」ということなのです。きっと、長い道のりだと感じた方もいらっしゃるでしょう。
そんな道半ばで力尽きそうなときにおすすめの方法は、
「スモールゴールを設定する。」
というテクニックです!!
余談ですが、「人間が、継続するために必要なこと。」は、何か分かりますか、それは、
「努力が積み重なっていることを実感すること。」
なのです!
例えば、
「最後まで解ききった問題集。」
「最後のページまで使った漢字練習帳。」
「解き終えたプリントの束。」
などなど、これまでの勉強を振り返って、「頑張ったな。自分。」と思えるということが、次への「やる気」を高めてくれるのです。
だからこそ、必要なことは、
「一旦ゴールまでたどり着いたという気持ち。」
なのです!!
しかし、ゴールの内容によっては「一朝一夕でたどりつけるものではない。」という可能性もありますよね。そんなときは、
「最終ゴールにたどり着く前の過程を細分化し、スモールゴールとして設定する。」
ことがおすすめです!
そして、
「今日のゴールにたどり着くことで達成感を積み上げながら大きなゴールへと向かっていく。」
という過程をデザインしましょう!
このような毎日の積み重ねが、「やる気」を高めるポイントなのです!!
3.「今」から「未来」を想像する。
「やる気」を高める最後の方法は、
「『今』の努力を続けた先に待っている『未来』の自分を想像する。」
という方法です!!
言うまでもなく、「未来」というのは「今」の積み重ねですよね!このことさえ理解できれば、
「『今』の自分が毎日の努力を積み重ねていくと、『未来』にはどうなっているか。」
が想像できることでしょう。
もちろん、半分くらい「理想」でも構いません。
大切なことは、
「『今』の自分の努力の価値に気付くこと。」
なのです!!
おもしろい話。「人生は、ありとあらゆる『選択』でできている。」と言われています。そして、「自分がどの『選択』をするかにおいて『未来』は変わってくる。」ことは、自明の理でしょう。
ぜひとも、子どもさんに問いかけてみてください。
A.「今」の『楽』を選択して、今と変わらない「未来」を受け取る。
B.「今」の『努力』を選択して、「今」よりも成長した「未来」を受け取る。
「さぁ、あなたはどちらを選択するの?」と。
きっと、「Bを選んだ方が良い」ことは誰しもが想像つきますよね!
ときには、「努力」に疲れ「継続」もままならないときもきます。そんな「やる気」が停滞したことの原因は、
「自分の『今』の努力の価値を見失った。」
ということにあるかもしれません。
人間は「長期的な利益を低く見積もってしまう。」という特徴があります。反対に、「目の前の利益が魅力的に見えてしまう。」ということもあるでしょう。
しかし、間違えてはいけません。
あなたの子どもさんがねらうのは、「自分が思い描いた理想の未来」にあるのです。
とは言っても、まだ人生経験の浅い子ども。きっと、間違った選択肢を選びそうになることもあるでしょう。
そのようなときは、もちろん親御さんの出番です。
子どもの「未来」を客観的に見ることができる親御さんの立場を十分に生かし、子どもさんが迷ったときにはアドバイスをしてあげてくださいね。
【子どもの『やる気』をアップする最強の方法は『褒める』こと】

3.最後に。
本記事では、「『やる気』は、出すものではなく、『出せる環境』によって湧き出てくるもの。」という内容を書きました。
子どもさんの「やる気」を高める方法は分かっていただいたと思うのですが、最後の「自制心」について付け加えさせてください。
よく、「やる気」と共に話題になるのは、「自制心」でしょう。文字通り、
「自分の抑えて、やるべきことに向かう力。」
のことを指しています。
最近では、「非認知能力」が話題ですが、その中の1つとしても語られていますよね。
「人生の幸福度を上げる資質」の1つとも言われています。
親御さんから言われることとして、
「ゲームなどを我慢できないから勉強ができないのではないか。」
と言われることがあります。
確かに「我慢」することは大切なのですが、
「我慢に頼り切っていては、いつしかほころびが出る。」
とも言わせてください。もっと言うと、
「常に我慢強さを使って勉強に向かっている状態では、ストレスフルな状態になって長期的な成果を得ることはできない。」
と言わざるを得ません。
だからこそ、「我慢」という「自制心」に頼るのではなく、「習慣化」の力を存分に生かして、勉強に向かうことが大切なのです。
ここまでまとめたテクニックを使いこなし、無理なく「勉強」に対する「やる気」を高めてくださいね!
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