新学期がスタートし、子どもたちも新しい環境に慣れてきたらそろそろ意識しだすのは、「学級目標」ですよね。
本記事では、
✅学級目標の価値とは。
✅学級目標を作るときに大切にしたいこと。
✅学級目標の具体的な作り方。
このような疑問を解決します。
学級目標をお飾りではなく、学級経営の核として価値のあるものとするために意識したいことをまとめましたので、判断基準としてご活用ください!
「学級目標」を作る価値とは。
ある日の職員会議。ふと疑問に思うことがありました。
「学級担任の先生方に連絡です。4月中に学級目標を決めていただき、決まりましたら報告してください。学校だよりに載せますのでお願いします。」
この連絡に何となく違和感を感じませんか。
「学級目標って、何のために決めるんだっけ?」
こんな質問をされたのなら、きっと、
「子どもたちのもの。」
と答えに行きつくでしょう。
「こんなクラスになったらいいな。」
という前向きな気持ちで決めてこそ、学級目標ですよね。ここまでは、異論ないかと。だからこそ学級目標をつくるときに気を付けなければならないことは、
✅期間を設けていること
✅教師の願いが強く出すぎて覚えられない
✅子どもの主体性を出しすぎること
の3つです。
では、これらの問題点について見ていきましょう。
✅学級目標の成立に期間を設けてはいけない理由
学級目標が「子どもたちの願い」に即しているとするならば、新学級である程度過ごしてみないと、その学級の雰囲気や問題点が分からないはずです。そのような子どもたちに、「今年は、どんなクラスにしたい?」と問いかけても、
「学級の実態に即さない、表面的な言葉」
しか出てきません。
例えば、「みんな仲良くけんかしない。」とか「困っていたら声をかけ合って助け合う。」のような、どの学級でも当てはまる言葉しか出てこないのです。そんな選択肢の中から、いくら話し合っても、その学級ならではの学級目標にはなりえません。
だからこそ、新しい学級になったときは、「自分づくり」に重点化し、自分づくりからの「仲間づくり」に発展させることが大切です。学級目標を語れるのは、「仲間づくり」から「学級づくり」に視点を広げていくことができた頃でしょう。ということを考えると、やはり「4月中に決めましょう!」という期間を設けることは、より良い学級目標には結び付きません。「学校だよりに載せる」というような教師側の事情による決め方などは、絶対にしてはいけないのです。
✅結局覚えられない「分かりにくさ」。
純粋な気持ちで4月中学級目標成立を目指していた時代。結構苦労していました。今考えてみると、その苦労は、完全に「自分」の問題だったのですが・・・。何に苦労していたかというと、
「格好良い言葉にまとまらない。」
ということです。先輩方から、学級目標の決め方を2つ教わっていました。
1つめとしては、「あいうえお作文」方式です。例えば、
ひょうげんしよう
まちがえても気にしない
わになってたすけあい
りきまずにたのしもう
僕たち、
私たち
きらきらひまわりクラス!!
のような方法ですね。
2つ目が「イメージ」方式です。例えば、
僕たちの学級で大切にしていキーワードは、
「明るい」
「笑顔」
「真っ直ぐ」
「協力」
僕たち、
私たち
きらきらひまわりクラス!!
のように、キーワードから何かしらの「もの」へ転換していくパターンです。「学校だよりに載せますから!」なんて柔らかくプレッシャーをかけられると、余計に体裁にこだわりたくなってしまうもの。
教師の思い入れをふんだんに取り入れた複雑な目標は、思った以上に忘れ去られます。本当です。子どもたちによっぽどの思い入れがないとすぐに忘れます。試しに、「あなたのクラスの学級目標って何?」と聞いてみてください。
「えっとね、忘れた!」
と言われること請け合い。ぎりぎり、
「ひまわり!!」
と思い出すことができても、「じゃあ、意味は?」と聞くと、
「えっとね、忘れた!」
となる確率80%強です。周囲にいる、気の利いた友達が、
「あれじゃん、ひょうげんしよう、まちがえても・・・。」
とフォローしてくれますが、果たしてフォローがいるような目標が定着していると言っていいのか疑問です。やはり、「子どもたちが子どもたちの決めた分かりやすい言葉」で決定できるのがよりよい目標となり得るのです。
✅子どもの「主体性」と教師の「願い」のバランス。
長い期間をかけてやっとの思いで作ったのにもかかわらず、子どもたちに覚えてもらえないのであれば、もはや決めなくても良いのではないかとも正直思っています。ただ、学級目標が唯一価値があると思うのは、
「学級の方向性が示せること!」
だと思います。方向性というか、学級で大切にしたいこと、簡単に言うとみんなが共通で守るべき「私たちのルール」のようなものでしょう。
例えば、
「思いやり」
というキーワードが掲げられていると、その学級は、「他者に対してやさしくできること」を価値としているんだということが、子どもたちに伝わります。
「チャレンジ」
というキーワードであれば、「とにかく勇気を出してやってみること」が、この学級では価値があるんだという子どもたちの意識づけになります。
このように、何かしらの「価値ワード」が掲げられていることにより、何もない学級よりも子どもたちの考え方が変わり、行動にも影響を与えます。やはり、子どもたちは、
「進むべき方向性を求めている。」
のです。だからこそ、
「教師の願いを『価値ワード』として出していく。」
ことが大切なのではないかと思うのです。
もちろん、小学校の主役は、子どもであり、「子どもの主体性が命」です。しかし、学級が進むべき方向性に関しては、教師の願いを強めに出しても良いのではないかと考えます。あまりに、子どもの主体性を意識するあまり「実態に即さない目標」ができたり、「分かりにくくて覚えにくい」ものになってしまったりすると本末転倒だからです。

「学級目標」と「個人目標」のハイブリッドという第3の選択肢。
ここまで、「学級目標」を作るなら意識したいポイントを3つ書いてきました。しっかりとこの記事を読んでくださった方からすれば、「結局、どっちなのよ!」と、余計に混乱させてしまったかもしれません。
はっきりさせるために結論を書いておきます。結論、
「子どもたちの方向性を示すためには、あった方がいい!」
しか~し!
「大人の事情で無理やりひねり出したり、かっこよさばかりを追いかけたりするものではなく、あくまでも学級で過ごす子どもたちの言葉で決めることに価値がある。」
と言えるでしょう。
結論をばしっと書いて終わろうと思うのですが、もう少しお付き合いください。
教員生活も15年に近づき、「学級目標」をつくる、つくらないという判断ではなく、もう1つの選択肢もあるのではないかという気づきがあったのです。それが、
というハイブリッドバージョンなんていかがでしょうか。
なぜ、このような新たな選択肢を用意したのかというと、日々現場で奮闘している教師の方々ならお分かりいただけると思うのですが、
「子どものは、一人ひとりが個性的。」
ということは、実感されるでしょう。
「学力」だけでなく、生活環境の基づく「価値観」の多様化が、ますます進んでいる昨今。一様に同じ目標へ向かって進んでいく難しさを感じているのです。
しかししかし。だからと言って、「目標なんてなくてもいいよ。」とは、言い難い。だからこそ、「共通の学級目標」(みんなを救えるような大きな枠)を準備して待ち構え、子どもたちは、みんなで決めたゴールへ向かって、
「自分なりの方法で進んでいく。」
という「学級目標」の作り方も「あり」なんじゃないかと思うのです。
社会の構造が大きく変わった現代の先生方に、ぜひこの第3の選択肢も頭の片隅に置いて実践をしていただき、多様な子どもたちに「私の学級って最高!」と思わせていただけたらと思います。
🔽もちろん、目標を立てて満足してはいけません。日々の学級経営も大切です。

まとめ。
ここまで、「学級目標」作りで意識したいポイントを書いてきました。
・子どもたちの実態に即していること
・子どもたちが心がけられるくらい分かりやすいこと
・学級内で求められる価値のある行動を示していること
このようなポイントが大切なのです。
むしろ、この条件が満たせないのであれば、本当に飾り物となってしまうでしょう。
そのような飾り物の「学級目標」にならないためにも、子どもたちの「経験」の基づいた素直な声を聞きながら十分に検討して作り上げてほしいと思います。
そして、学級が解散する3月には、「学級目標達成だね!!」と喜び合って、成長を共有しようではありませんか!
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