言うまでもなく、教師は、「話す」職業です。しかし、教師という職業に就いてから「話す技術」を学ぶことはありません。
本記事では、「子どもたちをひき付けて離さない話し方のポイント」を紹介します。
教師の「話す技術」が上達すれば、「静かに!」「今から話をします!」という力技を使わなくてもあなたが子どもの前に立っただけで「話を聴こう!」という気持ちが整います。
紹介する6つのポイントを意識して「話す技術」を高めてくださいね。
🔽「話のネタ」に困ったら、こちらをどうぞ。


【教師の話は導入が命】「場」を支配すべし!
みなさんも知っての通り、話を聴いてもらえるかどうかは、導入にかかっています。子どもたちに、「この話は面白そうだ!」とか、「この話は聴いてみたい!」という雰囲気、空気間を作り出し、「場の覇者」になることが重要なのです。ここでは、覇者化して話をスタートする2つの方法を紹介します。
✅静かになるまでひたすら待つ。
これは、お決まりの方法ですよね。多くの先生方が、この方法を実践されていることでしょう。
しかし、この方法は、かなりの根気が必要です。時間があまりない場合は、使えないですし、「ずっとうるさいまま」というバッドエンドを迎える可能性もあります。
あなたの目の前の子どもたちに、「子どもたちが静かになるまで待ち続け、気付かせる支援が本当に適当なのかどうか」を考えて使いましょう。
”あるある”のやってはいけない指導方法は、
「気付くまでに何分かかっているの!」
という、反省会までワンセットパターンです。
この「気長に待つ」という方法を選択したのであれば、教師の話始めは、
「よく気付けたね。」
で、始めるということが、最低限のスタートでしょう。
✅待たずに話を始める。
これは、ざわざわ感が残っていたとしても話を始めてしまう方法です。
目安としては、
「教師が話していることが1分で全体に伝わればいい。」
でしょう。
そのための工夫として、多くの先生方が多様なテクニックをもっているはずです。例えば、
「話の冒頭で動作化を取り入れる。」
という方法はおすすめです。
(子どもたちの前に立ち)
「昨日のイッテQ見た人?」
(挙手を促してしばらく静止)
(静かになりつつあることに気付き、今の状況を確かめようと子どもたちが注意を払い始める)
「明日からの体験学習楽しみな人?」
(子どもたちに関係する話題を振って、2回目の「動作化」を促す)
(この時点でほとんどの子どもたちは、教師が話をしていることに気付く)
(まだ気づくことができていない子どもがいる場合)
「〇〇さんは、体験学習の中で何が楽しみ?」
(気付いていない子どもの近くで手を挙げている子どもを指名する)
「〇〇さんは、キャンドルファイヤーが楽しみなんだね!堂々と意見を言えた〇〇さんに拍手!!」
(3回目の動作化、全員に拍手を促す)
「いよいよ、明日から体験学習ですね。これから学年集会を始めます。」
このように、「動作化」をうまく取り入れることで、全体の雰囲気を盛り上げつつ本題へ入っていけるのです。

【教師の話はコンテンツが命】興味・関心をひく話題を選択すべし!
導入の成功により「場」が整ったら、いよいよ、本題に入っていきます。
ここで意識したいのは、「この話、聴いてみたい!」と、これから始まる話に興味・関心をひくということです。間違っても、教師と子どもの我慢比べ大会を開催してはいけません。
「子どもたちは、お客様!」という意識で、楽しんでいただけるよう、話のコンテンツも工夫しなくてはならないのです。では、どのような話題が適しているのか、3つのパターンをご紹介します。
✅「教師の近況報告」から話に入るパターン
✅「子どもの世界」にふみこむパターン
✅「へぇ~」となる豆知識を入れこむパターン
それぞれ、解説していきます
✅「教師の近況紹介」パターン。
「教師」は、あくまでも「教師」です。
子どもからしてみれば、「先生」は、大人であり、しかも自分にとって「少し特別な大人」という認識でしょう。
例えば、
と、言ったように、子どもたちからしてみたら、「見本のような存在で当たり前」という認識をもっています。ここでは、その立場を利用し、
「先生も、そんなことするんだ!」
という親近感をわかせることにより、話にぐっとひき付ける方法を紹介します。
話題は何でもいいでしょう。
・久しぶりに運動をしたら、走りすぎて筋肉痛。
・新発売のチョコレートが、ものすごく美味しくて、食べ過ぎて太った。
・スーパーに行って買い物しようとしたら、財布を忘れた。
というように、「先生も普通の人なんだよ感」を出すと、
「私も、あのチョコレート食べた!」
というように、教師の話の世界に寄ってきてくれるのです。
このような反応があれば、子どもたちの心をつかんだも同然です。安心をして、本題へ入っていきましょう。
✅「子どもの世界」にふみこむパターン。
これは、子どもの世界観へ教師側から入りこむことで、話にひき付ける方法です。
例えば、
・「どうぶつの森」にハマって、寝不足。
・「鬼滅の刃」を読み始めた。全巻買うか検討中。
・UFOキャッチャーが趣味。すみっこ暮らしのぬいぐるみを集めている。
のような話題で話始めることで、子どもの興味・関心をひくことができます。
少し盛り上がりすぎる危険性もありますが、その状態は、教師と自分との共通点に盛り上がっている証拠です。
安心して本題へGOです!
✅「へ~」となる豆知識をいれこむパターン。
これは、教師の力技によりぐっと話にひきこむ方法です。
・「エジソンって、小学校を中退したって知ってる?」
・「『55』これは何の数字だと思いますか。」
・「目の前で人差し指を合わせてごらん。そして、少しずつ目に近づけてみると不思議なことが起きるんだ。」
などと、「急に何言ってんの?」と子どもに思わせて話を聴かせてしまうという方法です。
それなりに、準備も必要なのですが、何度か繰り返すことにより、子どもたちが、
「今日は、何をしてくれるんだろう。」
という期待感から、自然と話を聴く態勢になるというとてつもない効果があります。
その反面、子どもたちに対してヒットするかどうかの確証はありません。
十分にコンテンツを吟味してから満を持して臨みましょう。

【内容は分かりやすさ重視】教師の話しは、短く簡潔にすべし!
内容面のアドバイスは、もうこれだけ、
「話は、短く、分かりやすく。」
です!!
いやいや、急に適当になった訳ではありませんよ。大真面目です。
というか、導入を工夫して、子どもたちから「話してもいいよ。」という許可を得られたのなら、後は失敗しようがないでしょう。
もしも、失敗するとしたら、
・伝える内容がまとまっていないため、分かりにくい。
・何度も同じことを繰り返したり、細かすぎる注意事項を全て読み上げたりすることで話が長引く。
・予定していた時間が余ることを気にして、計画していなかったことを急に始める。
というイージーミスをすることでしょう。
どんなに面白い話でも、聴いている方は、それなりの苦痛を伴っています(自ら好んで参加している場合は、例外もありますが)。
その苦痛が「長く続いて、おまけに分かりにくい。」ともはや拷問でしかありません。話し手である教師は、このことを心に刻み込み、とにかく短時間で簡潔に終わりましょう。
【聴き力復活】いざというときの反則技。
とはいっても、話の内容によっては、どうしても話が長くなってしまうこともあります。
目安となる15分を集中して話を聴けている子どもたちに出会えたのなら、
「あなたたちは、よく話を聴けるねぇ! 感動して涙がでちゃうよ!」
と、伝えましょう。
さすがに涙は出ないかもしれませんが、15分集中して話を聴けるのは、素晴らしいことです。そして、長く話せば話すほど、子どもたちの集中力は散漫になるのは当然です。そんなときに使える、というか、できれば使わずに終えた方がいいけど、こんな反則技もあるよという軽い気持ちで2つ紹介します。
✅関係ない「余談」を話す。
みなさんも、
「授業の内容は覚えていないけど、先生が話したどうでもない話なら覚えている。」
という方、いらっしゃいませんか。これは、”あるある”ですよね。余談には、
があるのです。話しの内容を事前に吟味できるのであれば、導入での話を伏線をはっておき、集中が途切れた時に余談として回収するという方法が良いかと思います。
✅逆説的に問いかける。
この方法もなかなか強力です。教師の話し方の基本として、
「問いかけ。」
というものがあります。上記にも書きましたが、
「〇〇さんは、どう思う?」
「みんなは、◇◇についてどう思っている?」
というように、意見を求める方法です。この基本技術を少し応用することで、子どもの「聴き力」を取り戻すことができます。その問いかけ方とは、
というように、子どもたちが「えっ!何で!」という話題を放り込むという方法です。
それまで、体験学習の単調な説明が続いていて、ほとんどの子どもたちが、「はいはい、分かってますよ~。全然OK!~。」と油断しているところに、「キャンプファイヤーなし。」という情報が飛び込んできたらどうでしょう?
きっと、罵詈雑言が飛び交う最悪のムードになりますよね。考えてみてください。この状況。子どもたちは、まんまと話の内容に入り込んでいるではないですか。
もちろん、本気で「キャンプファイヤーなし。」と思っているわけではないですよ。
「先生! それはあんまりです!」
というように、子どもが食いついてきたら、
「そっか。じゃあ、キャンプファイヤーのときに気を付けないといけないことって何だろう。」
と、問い返すことで、
「火に近づかない方がいいよね。」
「楽しくなりすぎても、ちゃんと声をかけ合ってルールは守ろう。」
「目的は、みんなで楽しい思い出を作ることだから!」
というように、再び話に対する熱が燃え上がるのです。

【声量にもメリハリ】子どもとの距離感を意識するべし!
これまで、話の導入から内容、そして裏技まで書いてきましたが、ここでは内容ではなく、「話し方」について書いていきます。まず大切にしたいことは、
「教師の話と子どもの興味・関心との距離感。」
に気をつけようということです。
みなさんも、話を聴いているときに最初から最後まで一辺倒に話されては退屈極まりないですよね。子どもたちも当然同じです。だからこそ、「声の大きさ」にも気を配って話さなければなりません。結論を書くと、
「子どもが、話の内容に興味をもっていないときは大きな声。興味を示し始めたら次第に小さい声にしていく。」
ということがポイントです。
人前で話すと、自分の話に聴き手がどれだけ興味をもっているのかということが分かりますよね。これが分からないと、話は上手くなりませんからね。話し上手な教師は、子どもたちの反応を敏感に感じ取り、修正に修正を重ねて、よりスマートな話し手になっていくのです。
具体的には、
必要性があります。
しかし、導入に成功して話の核心に迫っているときは、きっと子どもの興味をぐっとひき付けていると思われます。だからこそ、
にする必要があるのです。
子どもが教師の話に注意を向け、身を乗り出して聴いているような状態では、小さな声でも伝わりますからね。
ちなみに、
のように話すことができると、体験学習での「怖い話」は大成功間違いなしです。
【おまけ】キャラを使いこなすべし!
最後におまけとして、教師個人がもち合わせる「個性」を混ぜ合わせて、フロー効果を前面に押し出し、話を面白くする方法を紹介します。
担任していると子どもたちから、
「僕の担任の先生って〇〇な先生。」
というようなイメージをもたれますよね? そのイメージを逆手に取り、キャラを崩す形で話に惹き込むという裏技もあります。
ただ、難しいのは、「どれだけ自分のキャラを崩せるか。」という自分自身との戦いでしょう。難しいだけに効果は絶大です。しかし、絶大なだけにその後にも影響が残る危険性はあります。使い時を見極め、覚悟が決まったら挑戦してみるのも良いかと思います。

【まとめ】子どもの実態に合わせて柔軟に!
今回は、「子どもを惹き付ける話し方」について書かせていただきました。大切なことは、
「子どもの実態に合わせて、変わり続けること。」
だと思います。この結論は、僕の経験からきている部分が大きいのですが、
「自分って、〇〇な人。」
と、自分のキャラを自分で固定した結果、話し方も固定化することは危険だと実感したのです!
子どもたちは、多様であり、変化し続けています。それに比べ、大人になった僕らは、「自分のキャラを固持したい。」「今更、変化するのは怖い。」と頑なになりがちなところはありませんか。
ぜひ、「その日の一番を出し切れるよう」共に、日々努力していきましょう!
🔽話の「ネタ」を作るには「行動力」のみ!!もちろん、「習い事」が最適です。

コメント