「子どもは、ほめて伸ばすべきだ。」
というのは、現代子育てのスタンダードとなりつつあるでしょう。
しかし、意外と知られていないのは、このような事実。
・ただほめればいいってもんじゃない!
・ときには、現実をしっかりと受け止めさせるサポートも必要
たしかに「ほめる」ということは、子どもの成長に必要不可欠なのですが、「ほめ方」も大切なのです。
だからこそ、この記事では、
「どのようなほめ方をすれば、子どもの成長をサポートすることができるのか?」
という疑問にお答えします。
一口に「ほめる」といってもかなり奥深いもの。気を付けなければならないのは、「間違ったほめ方により、子どもが本来の実力を出せなくる。」ということすらあり得るということ。
子どもにかかわる機会のある方は、本記事を読んでいただき、ご自身の「ほめ方」を振り返ると共に、「ほめるスキル」を使いこなして、子どもさんをサポートしてあげてくださいね。
①「アメとムチ」ではなく、基本は「アメ」で良い理由。
まずは、「ほめ方」を解説するよりも、
「『ほめるというアメ』と『叱るというムチ』をどうやって使い分けていくべきなのか。」
ということについて話題としたいと思います。
【効果的なほめ方】子どもの成長をサポートする正しい「ほめ方」3つのポイント
言うまでもなく、子どもは「ほめられる」ということが大好きです。
先生や親御さんから「ほめられる」ことで、張り切って活動に取り組む姿が見られるでしょう。
そんな「ほめる」というスキルを使いこなすときに意識したい3つのポイントをご紹介します。
✅「正しいほめ方」3つのポイント
①「頭のよさ」ではなく「努力」をほめる。
②できるだけ具体的にほめる
③「人前」よりも「一対一」でほめる
この3つを意識することで、「ほめる」効果を最大限に引き出すことができます。
では、それぞれのポイントについて解説していきます。
【正しい褒め方①】 「頭のよさ」ではなく「努力」や「過程」をほめる
みなさんは、子どもを「ほめる」ときに、どのような「言葉」を使っているでしょうか。
意識しないと使ってしまいがちなのは、
なんて、ほめてしまいがちではありませんか。
さらに、
このような「結果」に応じてほめてしまっていないでしょうか。
実は、例にあげたような「結果」を「ほめる」というほめ方は、様々な実験において、「効果的な褒め方ではない」と確かめられているのです。
その理由は、
「普段から『頭がいい』とほめられていると、『頭がいいと思われていたい!』という気持ちを引き出す。その結果、自分を守ろうと、『簡単な課題を選択する』、『自信がないことには挑戦しない』という傾向が強くなる。」
と言われています。
さらに、おそろしいことは、
というのです。
「ほめられているのに、なんで”ずる”をする必要があるの?」と思われた方もいらっしゃると思います。この子どもの小さな”ずる”は、また「頭がいいと言われたい」と思ってしまう健気な子ども心なのです。
そんな辛い状況に子どもさんを追い込まないよう、「努力を認めるほめ方」に変えていきましょう。
例えば、
「100点が取れるなんて、復習を頑張ったんだね!」
「毎日こつこつ努力していたことがA評価につながったんだ!」
「合格できたのは、練習を繰り返したからだね!
という「努力」を思い出させるような「ほめ方」が子どもさんの能力を引き出してくれます。
子ども側に立場を変えてみると、
と、学んでくれるはず。
先生や親御さんがいつまでも伴走してくれるわけではありません。一人で「学び」を深めていかなければならなくなったときにこそ、この「努力をほめられた経験」が力になるのです。
【正しい褒め方②】できるだけ「具体的」にほめる
続いてご紹介する「正しいほめ方」は、「ほめる内容の具体性」についてです。
子どもさんを「ほめてのばそう!」と意識されている方は、きっと、子どもの姿から「ほめる材料」を見つけ、「何とかしてほめてあげよう!」とする方は多いでしょう。
基本的に「ほめるスタンス」を取り続けるのは、子どもにとっては安心できる環境づくりにつながります。
大人を対象にした実験でも、
という結果が出るくらい「ほめる」ということは有効なのです。
しかし、子どもたちに「努力の大切さ」を伝えたいのであれば、やはり「具体的にどのような行動が素晴らしかったのか。」について伝えたいところ。
もう少し具体的に言い換えると、
という視点をもち、「言葉」として伝えればいいのです。
「そんなこと言っても、子どもとの関係性が深くないときもあるよ。」というご意見もあるでしょう。そのようなときにおすすめなのは、「世間話をする」という方法です。
というように何気ない会話の中から「子どもの努力ポイント」を聞き出し、その「努力した部分」を「ほめて強化していく」というのがおすすめです。
もしも、会話の中で「別に、勉強なんてしないよ。」という答えが返ってきてしまった場合も、めげることなく「ほめる」を取り入れていきましょう。
「でもさ、この問題。結構むずかしいよね。この問題が解けたってことは、わり算の意味がちゃんと分かっているってことだよ!授業を集中して受けていたものね。勉強してきたことが身についているんだなぁ!!」
というように、「努力」に焦点をあててほめていくことが大切です。
【正しい褒め方③】「人前」よりも「一対一」でほめる
最後にお伝えするポイントは、「ほめる環境設定」についてです。
「ほめる」ことの意外なむずかしさは、
「ほめられたことに対する子どもの受け取り方は、多様である。」
ということです。
きっと、大人の方でも、「みんなの前で褒められるのはちょっと…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
子どもも、様々な価値感をもっていることを考慮すると、「みんなの前」よりも「一対一」の方が「ほめる側」の気持ちはストレートに伝わると考えられます。
こちらがほめたことに対する子どもの反応も気になるところですよね。
やはり、そのような様子を見ることができるというメリットも考え、「1対1でほめる」ことを心がけましょう。
【正しいほめ方】おまけ~アメではなくムチがもたらす効果とは~

みなさんは、「モチベーションを高めるためには、アメとムチのバランスが大事」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
たしかに、一理ある考え方なのであとで「ムチ」については詳しく説明しますが、「ムチばかりでアメがない状態」は、よい結果をもたらしません。
「ムチばかりを与えられている」と、「自分に対する自信を欠いた状態」になってしまうことがあるのです。

実はこの状態こそ、「叱る」という「ムチ」をふるわれ続けた子どもの出した答えなのです。
#「シロクマのことだけは考えるな! 人生が急にオモシロくなる心理術」著:植木 理恵(新潮文庫)の中でこのような実験が紹介されています。
ある研究で「マウスに左折を覚えさせる」という実験を行いました。
次の条件をつけたマウスのうち、一番早く左折を覚えることができたマウスは何番だと思いますか。
①左折方向に「エサ」を、右に曲がると「電気ショック」
②左折方向に「何もなし」を、右に曲がるとには「電気ショック」
③左折方向に「エサ」を、右に曲がっても「何もなし」
この3つの条件のうち、一番早く左折を覚えたのは、
でした。
この実験から何が分かったのかというと、
「ムチがなくても、学習はうながされる」
ということ。
植木先生曰く、
が、一番効果を発揮するということが確かめられたのです。
特に、「自分の失敗を責めてしまう」ような子どもは、
「失敗をして叱責という痛みを受けるかもしれないという状況では、一歩を踏み出せなくなる。」
という場合があります。
「行動」の理由や「気持ち」を問われたりしたときに「だまる」という選択肢をとる子どもは、もしかしたら度重なる「ムチ」によって自信を失くしているのかもしれません。
【正しいほめ方】まとめ
本記事では、「正しいほめ方によって子どもの実力アップをサポートできる!」という内容をまとめました。
「言葉のもつ力」というのは、もはや言わずもがなですよね。
その言葉の強さは、「信頼感による」ということも分かっています。
ということ。
もちろん、子どもさんにとって一番の理解者は、親御さんでしょう。
そんな、親御さんだからこそ、「褒め方」によって子どもさんの可能性を大きく伸ばすことができるはずです。
ぜひとも、「言葉」でも、子どもさんの可能性の後押しをしてあげてくださいね。
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